お問い合わせ

ホーム > バイオグラフィー 〜 南佳孝のプロフィール

Archives 〜 00.12.19 台湾旅行

台湾へ行った。 前に行こうとした時は、ビザが必要だったりつい最近行こうとした時は、あの例の地震があったりして行けなかった台湾である。 名所遺跡を観光するガラでもない仲間達と昼からビールを飲んで旨い台湾料理に舌鼓をうった。本場だといまひとつ日本と味が違うものだが、大衆的なところから高級店まで台北市内のレストランは、全て旨かった。 で、その旅の内容はというと、足裏マッサージに行って痛い痛いを連発し「あなたここ悪い」「そこも悪い」と言われ、半信半疑で漢方薬を買い、台湾の一番茶という品物を真剣なセールストークを聞いて購入させられ、次の日も唯一行った故宮博物院の見学のあと、又全身マッサージに行って痛い痛いを連発。そして奇妙キテレツな漢方薬屋で又薬を購入というなんとも高齢者の為の慰安旅行のような旅になってしまつた。

そんな中で面白かったのは、石を買ったことだった。昔、中国の美術品というようなテレビ番組でその石の芸術を知った。石を探すところからはじまり、その石の中に一つの形態をみつけて蝉や蛙といったものを彫るのである。蛙などは、川のせせらぎの横にポツンとたたずみ、今にも跳ねそうな感じだった。親子二代で彫ったという作品もあった。

その記憶が蘇ったのは、ホテルの民芸品店であった。なんとはなしに見ていると、ガラスのショウケースにはいった蟹のおきものがあったのである。この作品は、いいなとすぐに思った。縁起もので水晶とこの蟹を台湾のお土産にしようかなと思ったが、買うのは一日おくことにした。そして帰る日にその民芸品店で値段を聞くと、水晶は、三万だの五万だの七万だのといろんなものが出てくる。針水晶というものまである。でも、色々と見ていくとやっぱりいいものは、いいのである、値段も。ここは、ゆっくり時間をかけて考えようと思い椅子に座って茶などをすすりながら説明を聞く。水晶は、傷がないのを探すのが一苦労。自然石だからどうしても傷が入る。ほとんどないのもあるがベラボウに高い。針水晶は、玉の中に針のようなすじが入っているもの。台湾では、護身用として警察官などがよく持っているとのこと。これだったら「まがいもの」であるわけがないと思い、その中でも持った感じ触った感じが一番いいものを買った。

蟹は、最初から買うときめていたので「これも下さい」と言うと、「あなたは、お目が高い」と言われた。これは、うちの社長が作ったものでその中でも特に気に入っているものだという。そんなこと言われると他のも見せてと言いたくなるではないか。そして又いろんなものを見せてもらうのだが、やっぱりいいものは、いいのである、値段も。値段交渉をこれまでのアジア旅行で鍛えた知恵と勇気をつかって、まずは、三分の一からすすめたが相手にもされなかった。じゃあこれも買うからこのぐらいにしてと言うと、上司に電話してOKとかNOとかいう。お茶をすすって又談笑しながら説明を聞く。こういう石の工房は、台北市内にはないという。東の地方にいい石が採れるところがあるのでそこへ行ってみればと言われたが、今日帰るのでそれは出来ない。なんだかんだと値段交渉を三十分位やり、こっちよりの値段におれたところで手を打った。そして結局四つも石を買ってしまった。

高い買い物であったのか、安いものであったのかいまだに判断しかねるが、これを書いている机の上でもそれら四つの石は、キョトンとしたまま何も語ろうとはしない。でも西陽が当たった水晶の輝きや蛙の表情が、陽の光で刻一刻と変わっていくのを見るのは愉しい。何だかいいものを手に入れたなという、子供のような満足感がある。