お問い合わせ

ホーム > バイオグラフィー 〜 南佳孝のプロフィール

Archives 〜 03.07.04 エッセイ 都会と海+photo & Sea Side Bar

都会と海
昔からぼくは、都会と海というテーマで曲を作り歌を歌ってきたような気がする。
'76~'78年の二年間ちょうど"BREAD and BUTTER"というCafeが出来た頃に茅ヶ崎に住み、
もう少し年をとったらこっちに住むのも悪くないなと思ったものである。
しかし、縁とは不思議なものでそれから20年後の'96年に、もう茅ヶ崎に住んでいた。
いろんな国へ行き、いろんなことを経験してちょうどいい時にここへ引っ越して来たような気がする。
これから先のことはわからないが、海辺の町のライフ・スタイルに興味は尽きない。
どんなとこらが好きかって、ちょっと歌ってみようか。
 
画像をクリックすると
大きい画像を表示します














朝の散歩、
浜辺から見る富士山、
誰もいない海、
鋪装されてない行き止まりの小道、
夏の終わりの夕暮れ、
そして君の微笑み・・・
それら全てのものが、
僕は好きだ。


台風が来る前の風の強い日、
東海道線から見る富士山、
江の電の鎌倉高校前駅、
極楽寺の憂鬱、BAR
BANKの静かな時の流れ、
J.J.MONKSの狂乱、
そして君の流し目・・・
それら全てのものが、僕は好きだ。


排気ガスの匂い、
燃えるアスファルト,
人通りの多い繁華街、
トレンド・ショップ、
顔のないサラリーマン・・・
それら全てのものが、嫌いになってきている。


真夜中のバーのカウンター、
ビリヤード台、
すました女の子達、
大きな壁のらくがき、
壁打ちテニス、
夕暮れの東京タワー、
人と話している時に妙に落ち着かない奴、
夜通し飲んだ夏の朝、
車がほとんど走っていない朝の高速道路・・・
それらすべてのものが、だんだんと、
だんだんと嫌いになってきている。


どこかの家から流れてくる
夕暮れのピアノの音、
鳥のさえずり、
猫の昼寝、
夏のはじまりの磯の匂い、
地引き網の散漫、
浜辺で犬の自慢をしたがる朝の散歩者たち、
そして何も言わず、
じっと海を見つめる君の横顔・・・
それら全てのものが、僕は好きだ。


風鈴の下で眠る子供達、
江ノ島弁天の鳶の鳴き声、
カヌーに乗って眺める陸の景色、
流木を集めてやる焚火、
夏の花火大会の夜、
友達の家のバーベキュー、
そして華やいだ君の顔・・・
それら全てのものが、僕は好きだ。
ここ湘南に越して来て
まだ日の浅い者にとっては・・・




「湘南スタイル」'03年 Vol.14より転載
photo by 南佳孝
雑誌には文章のみで写真は
このホームページのためだけに撮り下ろしたものです。

Sea Side Bar にて


M「いらしゃいませ」
客「こんばんは」
M「お飲物は、何にいたしますか」
客「そうね・・・。こう湿っぽい天気がつづくと何かさわやかなものがほしいわ」
M「そうですね。では、シェリーはいかがですか?Very Dryなやつで」
客「ええ、いただくわ」
M「今日は彼とは一緒ではないんですか」
客「ん〜、何だか、一人で飲むというのもいいかな、と思って・・・・」
M「おや、まぁ。そうですか」
客「彼は一人でよくこの店にくるの」
M「そうですね、週に一度くらいは来ていただいてますね」
客「そうなの・・・。ワインは好きだというのは、
  知っているけど、カクテルも飲むのかしら」
M「えー、1種類だけ飲まれますね。それも、一杯だけ」
客「なんていうカクテル」
M「マティーニです。ただ、彼のはほとんどジンだけで、
  ージンはタンカレーの10年ものでー
  それにほんの数滴ベルモットをたらして、オリーブを二つ入れる。
  ・・・ちょっと変わったマティーニですね」
客「フ〜ン」
M「彼いわく、"Midnight love call"というマティーニだそうですがね」
客「そうなの、じゃこのシェリーが終わったらもらおうかしら」
M「強いですよ、大丈夫ですか」
客「ちょっと舐めるだけでも味わってみたいわ。
  (・・・今夜、電話してみようかしら)」
M「わかりました」

南佳孝
archives メニューへ